偶然?必然?運命です!
「だ……大丈夫か?」
「だ……大丈夫です」
体は……。
心はボロボロです。
好きな人になんっっちゅー姿を……
「ほら、コレ。アンタのだろ」
「!?」
リュックだった。
先に学校の敷地に入ってもらったリュックだった。
『うぉっ!?』
ままままままっ、まさか!?
「あたあたあた、あたったり!?」
「いや、横スレスレで落ちてきた」
ホッ、あたってなかった。
良かった……。
「ごめんなさい。ありがとうございます」
謝って、お礼を言ってリュックを受け取る。
「アンタ、この学校だったんだな」
自然と並んで歩き出す。
まさかこんなに早く会えるなんてっ。
しかも隣を歩けるなんてっ。
グフフッと笑いそうになるのを我慢していると、聞かれる。
「今日、転校してきました」
「転校……、それは会ったことないわけだわ」
フッと笑う岸井さん。
わぁあっ。
「岸井さん、高校生だったんですね」
「あ……?」
「落ち着いてるから、大学生ぐらいかと」
「あー……、良く言われる。俺は十七だ」
十七!?
それって!!
「同い年ですね!!」
「おお、そうなのか」
嬉しくて笑って岸井さんを見ると、岸井さんもハハッと笑ってくれる。
朝から幸せ。
朝の全ての不幸がぶっ飛んでいく。
でも、同い年なら
「あの……岸井くんっっ」
呼んじゃったっ。
同い年なら、くん付けでもいいよね!?
キーンコーンカーンコーン
「「!!??」」
忘れてた!!
私、遅刻寸前だった!!
そしてそれは岸井くんも同じで
顔を見合わせた私達は、同時に校舎に向かって走り出した。
「しっかし、転校初日に遅刻って」
「それは言わないでっ」