偶然?必然?運命です!
なんとか間に合い、両手に一つずつオムツを持ってお店を出た。

街灯も少なく暗い夜道は、女のコ一人で歩くにしては怖い。


うん?

父親はどうしたって?


それはね私も言ったのよ、父に。


夜に娘一人で買い物に行かすのかって。


そしたら


「すまねぇ、玖遠!!父はっ、母と璃遠を守らないといけねぇ!!」



苦しそうに言う父。



「いやいや、その中に私も入れろよ」



母や璃遠は守ってなんで私は守らなくていいんだよ。

私だって女のコなんだよ。



「玖遠は大丈夫だ!!」


「なに、その自信」


「俺のコだから大丈夫だ!!」


「それはもう不安でしかない」


「玖遠はパパに似て、頑丈だもんね~」


母まで。


「好きで似たわけじゃない」


「なんと!?」



話しにならん。


こうして言い合いしている間にも、お店の閉店時間が刻々と迫っている。


私は璃遠の頭を撫でて家を出た。



「あだっ!!」


「ありがとう玖遠。二つお願いね~」



気をつけてと言ってくれる璃遠とのんびりな母の声を聞きながら。


そしてフンフンと歌を口ずさみながら歩いていると……



「「……」」



"ヤツ"が私の正面に立ったのである。


薄汚れた毛。

血走った目。

ダラダラに流すヨダレ。


飼い犬でないことは一目瞭然だった。


こっ、この街は……こんな危ないヤツを野放しにしているのか!!


見つめあうこと数十秒ーーのち、私はクルリと方向転換をしダッシュ。


こうして冒頭の追われる身となったのである。
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