偶然?必然?運命です!
「〜〜」
「ご機嫌だな」
岸井くんと並んで歩く帰り道。
そう言われニッコリと笑って頷く。
「だって、岸っっ」
岸井くんと帰れるから、って言おうとしたけどコレ言っていいの!?
気持ち悪いとか重いとかって思われない!?
恋はっ、恋は難しいなっ。
「なんだよ?」
言葉を止めてしまった私に聞いてくる岸井くん。
「だって、友っ、友達と帰れるから!!」
クッ。
私の意気地なし!!
しかしそれに対しての岸井くんの表情が微妙……。
えっ!?
友達も!?
友達もダメ!?
そんな……
「お前……前の学校で友達、居なかったのか……」
「!!??」
変な勘違いをされてた!!
「違っ」
「いい、いい。言わなくていい」
「いや、あの聞いて」
「俺が友達になってやるよ」
「えっ!?」
なんか色々、えっ!?
もう友達だと思っていたのは私だけだった!?
まぁでも友達になってくれるというのだから結果オーライ?
……うんうん、オーライオーライ!!
哀れみの眼差しが……少し痛いけれど。
「居るよ。居るからね、友達」
一応言ってみた。
「俺の前では見栄をはらなくてもいいんだ」
ポンッと励ますように肩を叩かれる。
私そんなに友達居なさそうに見える!?
好きな人と一緒に帰れているというのに、なかなかに泣きそうだった。
フワ……。
風に乗って花の良い匂いがしてくる。
少々傷付いた心を癒やしてくれる。
そうだ、匂いで思い出した。
聞いてみようかな。
「岸井くん」
「うん?」
「中野くんってどんな人?」
あの“匂い”の正体は……一体