偶然?必然?運命です!
父が言ったように、私は全てが父に似ている。



毛量が多くてフワフワの色素の薄い髪。


ツンッと吊り上がった灰色の猫瞳。


夜でも昼と同じくらいに良く見えるから、今もなんとか暗い中を逃げれている。



彫り深い顔で、よく


「ハーフ?」


なんて聞かれるけど父と母は、れっきとした?日本人だ。


父が異様に彫り深いだけで。



身体能力が高く、運動神経抜群。



特に走りでは誰にも負けない。



そして身体が頑丈。


怪我・風邪はすぐに治るから病院にかかったことはない。



良いとこばかりと思われるかもしれないがっっ。



全てと言ったように……



頭の悪さまで似た。



似てしまった!!



かと言って母が頭が良いかというと、そうでもない。



頭のデキは……どちらに似てもダメというわけで。



やっ、でも璃遠は頭が良いと思う!!


賢いと思う!!



私が母のお腹の中に置き忘れた賢さを回収したんだと思う、うん。



って、そんな悠長に自分のことを語っている場合じゃないよねー!!



そんな父似の足の速さのお陰で、なんとか逃げられているけど追いつかれるのも時間の問題で……



そしてこの街、人っ子一人おらんのんかいっ。



誰ともすれ違わんのだが!?



家や建物などはあるし、明かりもついているから誰かしらは居るのだろうけど全く出てくる気配なし!!



「キャーキャー」とこんなに悲鳴を上げているのに、助けようという気もないようだ。



もういっそ、この両手のオムツを……



いや、ダメだ!!



これは大事な妹の大事な物だ。



野犬にぶん投げるなんて出来ない!!



ああ……もうダメ……。



璃遠、オムツを届けられず先立つ姉をお許し下さ




「オイッ!!」




諦めかけたその時ーー



声が




「こっちだ!」
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