偶然?必然?運命です!
「まーたお前かよ」




「ハハ……」




「しかもパン食いながらって」




「寝坊して、朝ご飯食べられなくて……」




なんか岸井くんには変なとこしか見せてない。




これじゃあ百年の恋も冷めちゃうよ……。




「ホラ」




食べかけのパンを差し出される。




「半分食べる?こっちしか齧ってないから、無事だし」




アホなことを聞いてしまう。




食べかけを食べる?なんて




「お前……」




ああ……呆れてる。



呆れられてる。




「むぐっ!?」




突然、パンが口に突っ込まれる。




目を白黒させていると、パンが半分に千切られ




「変な女」




と岸井くんは笑い、その千切ったパンを齧った。




わぁぁぁああっ。



カッコいい!!



カッコいいのですがっこの人ーーっ!!




言葉も出せず悶絶していると




「行くぞ」




「あっ、うん!!」




そうだった。



遅刻寸前だった。




パンを咥えた私達は並んで学校へと走り出した。






「前の学校でも遅刻してたのか?」




「!?」




聞かれる。




何やら“ダメな奴”のレッテルを貼られてるんだけど!?




誤解っ、誤解だよっ。




「してないよ!!昨日と今日は夢を見て」




「夢?」




「うん……なんか誕生日が近くなるほどリアルになっていくというか……」




あの夢を思い出す。




誕生日の日に、もしかしたらあの森へ入れるのでは




「誕生日か、いつなんだ?」




走りながらの会話。




「!?」 




誕生日を聞かれたーーっ!!




「今月の25日!!」




「もう少しじゃねぇか」




「うん!!そうなの!!」




「俺より早いな」




「そうなの!?岸井くんはいつ!?」




「来月の7日」




おおっ!!



誕生日が近いなんて




「運命!?」




「は?」




「……なんでもない」




興奮して変なことを口走っちゃった。




シラーッとした視線を向けられ、ツイーッと私は視線を逸らした。
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