偶然?必然?運命です!
「私……」



「どこか調子が悪いのか?急に止まって動かなくなるなんて」



急に止まって動かなく……?


そんな……私は止まっていない。


止まったつもりは全くない。


けれど現に今止まっている。


白昼夢……?というやつなのだろうか。


でも、なんで今突然……。



確かにあれは今日も夢に見たあの森だった。



なんだっていうの?


あの森は一体どこなの?



私となんの関係が……



誕生日?


私の16歳の誕生日と何か関係が?


璃遠も言っていた……


「月城?」


「っっ」


そうだ、答えないと!!


岸井くんが心配してくれているのに。



「大丈夫!!なんかちょっと寝ちゃったみたいで」



「ハァ?」



怪訝そうな顔。



だよね、走ってるのに突然寝るなんてありえないよね。



でもそれしか言えなくて。



おもわず下を向いてしまうと



「体調が悪いとかじゃないんだな?」



「うん」



「もう眠くないか?」



「大丈夫」



「じゃあ行くか」



「っっ」



「なんだよ?」



「なんでもっっないっ。行こうっ」



私達はまた走りだす。



危ない奴だと、距離をおかれてもおかしくはなかった。


突然、しかも立ったまま寝るような奴のことなんて。


でも岸井くんは何事もなかったかのように振る舞ってくれた。


何も聞かないでくれた。



優しいなぁ。


この人を好きで良かった。



前を走る背中に



「ありがとう」



とお礼を言うと



「なんの礼だ?礼を言われてもリュックは持ってやらねぇよ」



「アハハッ!!」



思わぬ返事が返ってきて、笑ってしまった。



森のことは父に聞いてみよう。


何か知っている……そんな気がする。



そんな私達はなんとか間に合ったのだった。



「「よっしゃあ!!」」



「何が“よっしゃあ!!”だ。さっさと席につけ。問題児ども」



……問題児!?
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