偶然?必然?運命です!
声がした


男の人の声だ。


って、こっちって!?


走りながら周りを見る。


するともうすぐそこの、アパートだろうか……


アパートの二階ベランダに人影が。


手摺りの外に出て、左手で手摺りをしっかり持ち、右手を私の方へと差し出してくれている。



その人が神々しく光って見えた。


神だ!!


あの人は神様に違いない!!



「バウッ!!アォーンッ!!」



犬の吠え方が変わる。


まるで男の人を威嚇するように。


私は最後の力を振り絞り、かつオムツを片手に持ち替え男の人に手を伸ばす。


男の人も私も手が届くかギリギリの……距離。


届けーーっ!!


「お願いしまーーすっ!!」



届かない距離を私は飛び上がって、男の人の手を掴んだ。



「ガウゥッ!!」



犬も飛び上がる。



グイッ!!


ガチッ!!



力強く引っ張られるのと、犬の口を閉じる音が聞こえたのは同時で……



「ギャンッ!?」



犬の鳴き声がしたけど、男の人に必死にしがみついていた私は、何が起こったのかわからなかった。
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