叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 「わかったわ。まだ、友人でいてもいい?」

 「ああ。もちろんだ。さあ、帰ろうか」

 そう言って、背中を向けた彼に本当は飛びつきたかった。あなたが御曹司でなかったら良かったのに。口にしたら彼を傷つける。私は何も言わず彼の後をついていった。

 私は彼の運転中の横顔をじっと見つめた。
 
 今日一日一緒にいただけで、楽しかった。そして彼の誠意を感じられて、嬉しかった。

 でも、御曹司の恋人は正直こりごり。しかも、お父様の代わりに総帥へ就任する可能性があるとすれば、そんなに時間的猶予はないはず。

 やはり、結婚が条件だとすると、私への気持ちよりも優先するものがあって優しくしてくれているのかもしれないと思ってしまう。元々は、口喧嘩ばかりの関係だったし……。
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