叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
「由花?どうした……?」
赤信号で止まった彼は、私を覗き込むように見ている。彼を直視できず、返事が遅れた。
「なんでもない」
「俺の言葉を気にしすぎるな。お前の気持ちがないのに手に入れたいとは思わない。今のままでも十分だ」
彼は翌日から一週間出張だと言っていた通り、姿を見ることがなかった。
私は自分の仕事をこなしながら、会社にいると彼の姿を思い出して彼のことを考えることが自然と多くなった。
真っ直ぐに気持ちを伝えてくれたあの湖での出来事が私の中に大きなさざ波を落としていた。
家に帰ると、おばあちゃんから仕事の話を聞いた。
「来週土曜日、ホテルでのレセプションの花を飾って欲しいと依頼があったわ。都内のツインスターホテル。どうも、何かのパーティーがあるようよ。しかもお前を指名してきたのよ。何か心当たりある?」