叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 すぐにメニューを見せられて、紅茶を頼むとインカムで指示し、カートでルームサービスのように運ばれてきた。

 「よろしければ、こちらのスイーツもどうぞ。ここのパティシエの今月のケーキです」

 「わあ、ステキ」

 アジサイの花を模したケーキ。見ているだけで幸せな気持ちになれた。
 中田さんがコーヒーを飲み、私がケーキを口にした頃、彼が話し出した。

 「あなたを指名した理由をおはなししておきます」

 私は、フォークを置いて、彼をじっと見つめた。絶対何かある。勘が働いた。

 「そんな、怖い目しないで。大丈夫だよ。友人から話を聞いていてね。一度内緒で会いたかったんだ」

 「え?」

 「清家玖生は僕の親友だ。そう言ったらわかるかな?」
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