叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
見ると周りに人が集まって遠巻きに見られていた。
私は恥ずかしくて泣きたくなったが、すぐに中田さんがホテルスタッフを連れてきて間に入り、皆さんを案内していく。
中田さんが玖生さんに目配せした。玖生さんは、青い顔をした私の腕を取ったまま、ひきづるようにしてエレベーターへ向かっていく。
すぐにボタンを押すとエレベーターが来て扉が開いた。
私は彼にそこへ押し込まれた。
扉が閉じると同時に彼がカードキーを照合し、階数を押した。振り向くと私をエレベーターの壁に押しつけ、両腕で囲った。
「驚かせるなよ……はあ、間に合ってよかった。いったい、どうして……大丈夫だったか?」
そう言って、大きなため息をつきながら、私の肩に顔を埋めてしまった。
「あ、あの、助けてくれてありがとう。そして、ごめんなさい」
「由花。何故今日のこと黙っていた。絡まれている君を見て俺がどれだけ驚いたかわかるか?鷹也の奴の差し金だな。全く……」