叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
 
 「私など、きっと大人の玖生さんからみたら小娘同然です。私とお話ししていて楽しいかどうかというと少し心配です」

 「いや、あなたこそ俺みたいなのと話しても何も面白くないだろうし、かえって迷惑だろう……」

 「……玖生、いい加減になさい」

 大奥様が怒った!大奥様って怒るんだ。いつも穏やかなのに……。隣にいるうちの祖母は何も言わず黙って見ている。
 私は空気が悪くなってきて、つい言ってしまった。

 「あ、あの。この後は、私達だけで少しお話ししますので、大奥様とおばあちゃんはこのままここにいらしてください。私達は庭にでも行きますから」

 「……わかった。そうしよう」

 玖生さんはそう言うと、立ち上がって祖母に頭を下げた。

 「申し訳ございません。少しお話ししてこちらでお送りしますので、この後は私にお任せ頂けますか?」

 「……ええ。よろしくね」

 そう言って、私に目配せした。私もうなずいて、大奥様へ挨拶してふたりで席を立った。
 
 綺麗な庭だ。春の緑が眩しい。
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