叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 私は助けてくれた玖生さんに、何か心を許してしまい、小首をかしげて甘えてみた。
 すると、彼は私を見て固まった。そして後ろを向いた。

 「どうしたの?」

 「……いや。珍しく素直で可愛いなと思って……いつもなら、そんなのいいとか言うじゃないか」

 もごもごと言う。

 「そうね。今日は助けてもらったせいで、なんとなく玖生さんになら甘えてもいいかなと思っちゃったの……」

 玖生さんはこちらを振り向いて嬉しそうに言う。

 「ああ、いつでも甘えてくれ。楽しみにしてる」

 するとポケットの携帯電話が鳴った。

 「あ、私だわ」
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