叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
私は慌てて電話を切ると、部屋を飛び出した。
玖生さんはそんな私を見て、驚いて立ち上がった。
「どうした?」
「おばあちゃんが買い物先で倒れて病院へ運ばれたの。すぐに行かないと……」
彼はすぐに駆け寄って、私の手を握った。
「落ち着け。送っていくから……震えてるじゃないか」
覆うように抱きしめてくれた。身体が恐怖で震えている。以前も両親が救急車で運ばれて、最初に父が、そして母も追うように亡くなったからだ。
私を抱きかかえて、玖生さんが電話をしている。
「エントランスに俺の車を回した。今日は運転手がいる。それと鷹也にも俺から連絡しておくから、君の控え室の荷物はあとで取りにこさせよう。今はそれで大丈夫か?」