叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 「由花。俺たちは幼い頃からの夢を実現する最後の一歩まで来た。俺はお前の行く先の邪魔はしないが、お前を諦めることもしない。安心して進め」

 嬉しくて涙が出た。

 「おい、由花」

 立ち上がった玖生さんは私の側に来ると、私が渡したハンカチで涙を拭いてくれた。

 「由花は泣き虫だろ。また、これを貸すことになるとはな……」

 そう言って、私の手にハンカチを握らせた。

 「アメリカから帰ってきたら返してくれよ」

 ハンカチで顔を覆いながらうなずく私を彼は優しく抱き留めた。
 そして立ち上がらせると、荷物を持って外へ出た。
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