叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
「そうね。父から総帥に正式に申し入れさせて頂いて、総帥も私がいいと推薦してくださったようなの」
私は何も言わず、お茶を飲んだ。
「玖生さんは今までお付き合いをしている人はいなかったようだけど、女性が嫌いな訳でないのはずっと前から見ている私は知っていたの。結婚だけを避けているっていう感じだった」
「そうですか……」
「私ね、学生時代からだからもうかれこれ十年くらいは彼に片思いをしている。でも決して突き放すことはなさらない。それにいずれ結婚されるのはわかっていたから、彼に特定の人が出来ない限り私は待とうと決めていたのよ」
十年……そんな前からのお付き合いだったの……しかも待っていたっていうのはいずれ自分を選んでくれると思っていたって事なのね。そう思わせる何かがあったということかもしれない。
「何も言わないのね」
「杉原さんが私に会いたいとおっしゃったんですから、お話しをうかがうだけです」