叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 こちらをじっと見ている。

 「総帥に玖生さんがなるときは結婚しているのが条件と聞いていたので、近々総帥が引退される予定ということは、玖生さんが継ぐということが決まったんだと思ったの。それで結婚のことを聞いたけど決まってなかった。だから、勝負に出たのよ」

 「……そうだったんですね」

 「あなたのことを最近耳にして、父は一昨日玖生さんに会ったんだけど、この結婚について返事をもらえなかったらしいの。日本に好きな人がいてその人の意向で結婚がまだできないって聞いて……あなたのことで間違いないかしら?」

 「ええ、そうです」

 「正直驚いたわ。ちなみに総帥は私のことを孫同然に可愛がって下さっているの。すでに二十年以上のお付き合い。私がまだ小さい頃から知っているから……」

 総帥は私をどう思っているかなんて、今の話を聞けばわかった。私より彼女を孫の嫁として望んでいるということ。健吾のときと全く一緒ね。御曹司ご家族が私を選ぶことはない。早くこの不毛な話を終わりにしたかった。

 「それで、私がどんな人間かを見にいらしたんですか?」

 つい、攻撃的な物言いになった。
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