叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 「それはそうでしょ。玖生さんが結婚を急がないといけない理由を知りながら、自分のことを優先して彼を放っておくなら、彼のために身を引いてほしい。すぐに結婚できる私をあなたから彼に推薦して欲しかったのよ。玖生さんに直接会って結婚の話をする前にはっきりさせたかった」

 「私にも事情があるとは思われなかったんですか?」

 「それも聞いたわよ。自分の襲名が大切で、玖生さんとのことを後回しにしてるんでしょ?」

 「私もできるだけ急いで襲名して、玖生さんとのことも考えるつもりです。彼はそれを理解してくれました」

 「ふーん。というか、その襲名をして清家の総帥の妻も両方できるの?」

 「……それは、これから決めることです。でも織原流には全国にお弟子さんがいますし、私は四代目です。玖生さんの妻だから家元の仕事をやらないという選択をする気はありません。大奥様ともご相談させて頂くつもりでした」

 はっきりと彼女の目を見て言った。ここはどうしても負けられない。
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