叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 「渡米直前、玖生さんが五十嵐流の家元に話してしまわれたんです。ご報告が遅れてしまって申し訳ございません」

 頭を下げた。

 「いいのよ。ようやくあなたが交際にうなずいてくれたと玖生は嬉しそうに渡米前私に話していたわ。だから知っていたの。それでね、家元としてあなたがやらねばならない仕事を書いて頂いたの。これだけはどうしてもというものね」

 「大奥様からご連絡を頂いていて、ここ一週間くらいかけて資料を見ながら書いてみたの。あなたの襲名後に渡そうと思っていたんだけど、清家とのお話が出回っているようなら早めに片付けないとあちらにも迷惑がかかるわ。わかっているわよね」

 「はい」

 「それで、私の方も清家の妻としての仕事をリスト化してあなたと相談しながら分担しようかと考えています」

 「大奥様。私を嫁として認めて下さるんですか?別な縁談が進んでいるっていうおはなしは……」

 「玖生さんはあなた以外と結婚は嫌だと私に言いましたよ。アメリカの縁談はうちの人に玖生ならはっきり断るでしょう。というか、あなたは玖生に連絡していないの?」
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