叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
「……亜紀さんだって仕事はできるし、杉原社長は玖生の長年のアドバイザー的な立場だ。杉原社長と親子関係になれるならそれ以上の益があるだろう。すぐに結婚できるのもいい」
やっぱり私の背景に何もないことを言っているのね。神田との時も暗にそう言われた。
「もちろん、あなたが言うことも一理あります。杉原社長との縁はあの子にとっては重要でしょう。でもそのために好きでもない娘を迎えるとは思えない。さっき彼女が言っていたとおり、玖生は相手に求めることがあるのよ。亜紀さんは玖生に直言など出来るはずもない。逆に気に入られるため我慢をするかもしれないけど。それだと亡くなった秀美さんと一緒じゃないの?」
大奥様の言葉に総帥はしばらく考えて答えた。
「玖生の結婚をしない理由にそういうことがあったとはしらなんだ……それが本当だとすると玖生はおそらく亜紀さん相手ではうなずくまい」
お父様は立ち上がると、ソファの後ろにあるデスク上のパソコンに向かって話しかけた。
「聞いたか、玖生。さあお前はどうしたい?」