叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
私達三人は驚いて後ろを見た。パソコンの中から玖生がこちらを見ている。
「父さん、遅いよ……やっと聞いてくれた。おじいさまが由花を責め立てて俺は叫びそうになったよ。ああ、疲れた……」
「玖生お前、見ていたのか?まさか、秘書の山川までわしを騙していたのか!」
ああ、玖生さんだ……どういうことなの?大奥様はお父様を睨んでる。まずい、ふたりとも怒ってるよ。
玖生さんのお父様が立ち上がって謝った。
「ああ、父さん、母さんそう怒らないでくれ。俺だって玖生に父親らしいことをしたくてね。俺を蚊帳の外にしてふたりで息子の結婚相手を決めようとしていただろ。どう考えてもおかしいよな。俺は玖生の考えは知っていたし、あいつのために一肌脱いだんだ。織原さん、驚かせてすまない。でも君のためにやったんだよ。許してくれ」
玖生さんは、大奥様に声をかけ、画面の向こうから頭を下げた。
「おばあさま。由花を助けてくれてありがとうございました。おじいさま、父さんが言っていた通りです。俺は父さんと母さんが愛し合っているのにお互いが遠慮し合っているのを見て育った。母さんのように言いたいことをのみ込んでしまうようでは忙しい清家総帥は妻を不幸にしてしまう。父さんごめん。こんな言い方して……」