冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心
毒まみれでも、安全地帯
「うっわぁ〜、朝から爽やかな笑顔に癒されるぅ~~」
「永遠に見てられる~」
「ホント、歩く彫刻だよねぇ」
4月上旬、始業式の翌朝、高校の正面玄関、下駄箱前。
登校する女子生徒の視線を釘付けにしている男子生徒2人。
1人はサラふわ髪に中性的な顔立ちで、甘い声音で女子に笑顔を振りまく藤宮 朝陽。
親が大きな食品会社を経営しているというお坊ちゃま。
告白する子は後を絶たず、来る者拒まず、去る者追わずの遊び人。
特定の彼女を作らないというのも有名で、少しミステリアスな雰囲気を醸し出す美男子。
もう1人は朝陽の幼馴染で、いつも無表情で無愛想な上條 廉。
端正な顔立ちでクールな眼差しが女子ウケするのか、これまた告白する女子は多いらしい。
外資系の商社を経営する両親の下、何不自由なく過ごして来た、生粋の御曹司。
2人とも身長180センチを超える長身でモデル体型。
絶大な人気を誇る我が校の2大イケメンだが、上條にはもう1つの顔がある。
「キャァアアア〜〜ッ!!」
「カッコいい〜〜ッ!!」
「あー、もうマジでうぜぇな、朝からキャンキャン吠えんな、散れ。その口、縫い付けんぞ」
女子だろうが容赦ない。
塩対応を軽く通り越して、猛毒対応。
けれど、眉目秀麗、文武両道、文句なしのハイスぺ男子。
それが女子の目にハートを浮かばせているらしい。
「ほら、あの黒髪の方が学年一の上條君だよ」
「……へぇ」
2年に進級したら、その2大人気イケメンとやらと同じクラスになった。
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