冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

「それ、美味しそうだね」
「食べる?……美味しいよ?」

食べる?って、私のスプーンで?
それとも、上條君のスプーンで??

彼が口にしてるビーフカランガはおすすめメニューのもので、どんな味なのかちょっと気になる。
何て返答したらいいのか、戸惑っていると。

「ん」
「……っ」

目の前にスプーンで掬ったカランガが差し出された。
……いいのかな?これ、食べて。

口元まで運ばれたそれを受け入れるようにパクっと口に入れる。

「んっ!……美味しいっ!!」
「でしょ?」
「トマト味のシチューみたいな感じだね」
「ん」

想像していた味と違ってちょっと驚いてしまったけれど。
そのスプーンで再び掬って食べてる彼が視界に入る。
これって、……間接キスなんじゃ。

「ん、どした?」
「あ、いや、……何でもない。上條君もパスタ食べる?」
「いいの?」
「うん。ちょっと待ってね?」

フォークに絡めたパスタを彼の口元へ。

「さっきは何も考え無しにしたけど、これ結構ハズいな」
「っ……、うんっ」

上條君は照れながらパスタを食べた。



昼食後は残りのエリアをゆっくりと廻り、15時前に正門前のショップでお土産を見ることに。

「和香と朝陽君にはクッキーとかでいいかなぁ?」
「いいんじゃね?」
「この缶可愛いから、これにしようかな」
「じゃあ、朝陽にはこれにする」
「あ、それ、中がチョコなんだね!じゃあ、和香のもそれにする。クッキーよりチョコの方が好きだから」
「小森は?クッキーとチョコならどっちが好き?」
「へ?」

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