冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

お土産を吟味する親子連れが多い店内で、上條君の顔がすぐ目の前に現れた。

「小森はどんなのが好きなの?」
「おっ、お菓子の話?」
「ん」
「……クッキーでもチョコでもお饅頭でも、何でも好きだけど」
「へぇ~」

流し目のような、ちょっぴり色気のある視線にドキッとしてしまった。

「なぁ、せっかくだからさ、初デート記念にお揃いのモノ買わね?」
「ッ?!…欲しいっ!!」
「プッ……」
「あ……ごめんっ、ちょっと興奮しすぎたっ」
「いや、めちゃくちゃ可愛かった、今の顔」
「っ……」

プッと吹き出した彼は、楽しそうに雑貨コーナーへと。

「上條君が可愛い系を持ってるイメージが湧かないんだけど」
「……別に気にしなくて、よくね?」
「いやいや、大事でしょ。パステルカラーのリボンが付いてるのとかイメージ破壊に繋がるから」
「あ、それは困る。ってか、さすがにそれは無理。俺がピンクのモノ持ってるとか……考えらんねぇ」
「フフッ、さっきのお返し♪」
「あ、……っくっそー」

ちょっとじゃれ合いながら、店内を行ったり来たり。
それだけでも十分幸せすぎる。

「これなんてどう?」
「タスマニアデビル?」
「うん、これなら、上條君が持ってても違和感ないし、目がくりくりしてて結構可愛い」
「いいんじゃね?」
「じゃあ、これ買って来るね」
「あ、ちょっと待った」
「ん?」
「俺が買う」
「いや、私が買うよっ」
「え、何で?普通、こういうのは男が払うっしょ」
「あ、……別に、それは気にしなくてもいいと思うし……」

今日は誕生日だから買ってあげたい!って言ってもいいのかな…?

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