冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

「お邪魔します」

17時過ぎ。
どうしよう。
自宅に小森を連れ込んでしまった。
やべぇ、これ夢じゃないよな?

室内をキョロキョロ見回す小森。
小森の家と違って、生活感のない家が新鮮なのかな?

「適当に座ってて」
「あ、……ん」

小森のために、ドルチェマシンでキャラメルマキアートを淹れる。

「ご飯どうする?帰って自宅で食べる?」
「うーん、どうせ両親遅いと思うし、何か買って帰ろうかな」
「……じゃあ、デリバリー取るから、ここで一緒に食べるか?」
「え?」
「今日くらい、いいだろ」
「……うん」

ダメもとでも、言ってみるもんだな。



「なんか、気を遣わせてごめんな」
「えぇ~、気なんて遣ってないよ」

和食の折詰め弁当を注文し、配達までの時間に小森がすぐ近くにあるケーキ屋さんにケーキを買いに行ってくれた。

「誕生日は、やっぱりケーキでしょっ!」

17歳をケーキで祝うとは思ってなかった。
両親は仕事人間で、いつも事前にお小遣いを渡され、それで勝手に過ごせよ的な家柄だったから。
こんな風に絵にかいたような誕生日なんて、いつぶりだろう?

宅配のお弁当が届き、その横にケーキがある。
そして、俺の隣りに……大好きな彼女がいる。

「ちょっと照れるけどっ。……Happy Birthday to you♪ Happy Birthday to you♪Happy Birthday, dear Ren♪ Happy Birthday to you♪」
「っっっ」
「17歳のお誕生日、おめでとう」

大好きな彼女が生歌で祝ってくれた。
17年生きて来て、今までで一番幸せかも。

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