冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

1本だけ乗せられた蝋燭を吹き消すと、目の前にラッピングされた袋が差し出された。

「……貰っていいの?」
「もちろんっ」
「ありがと、じゃあ、遠慮なく貰うな。中、見ていい?」
「……ん」

手のひらサイズより若干大きめの袋を開けると、更に中に透明な袋に入ったスマホケースが。

「何これ、めちゃくちゃカッコいいんだけど」
「そう言って貰えると、徹夜した甲斐があるよ」
「は?」
「……あ」

しまった!という顔をしてる小森。
徹夜って……、まさかこれ、手作りなの?!

「これ、小森が作ったの?」
「………うん」
「マジで?」
「うん」
「すげぇな」

宇宙をイメージしたようなデザインで、黒を基調としたカラーに紫やシルバー、青や赤や白といった差し色が絶妙なバランスで入ってて。
黒一色の今のスマホケースとは、別世界の代物。
すぐさま今つけてるケースから付け替えると、手の馴染みもよくて、すげぇカッコよさが何十倍も割増しされた。

「めちゃくちゃ気に入った。ありがとな」
「どういたしまして」
「あっ……」
「ん?」
「もしかして、小森のスマホケースも自分で作ったやつ?」
「うん、そうだけど?」
「マジで?!それ、市販のじゃねぇの?」
「違うよ?」
「前から見てて、すっげぇ小森に合ってんなぁと思ってたんだよね」
「っ……、そうなんだ」

空に浮かぶ虹がモチーフで、下に可愛らしい花があしらわれてるデザイン。

「売り物でも全然いけんだろ」
「……結構売れてるよ?」
「は?」
「ネットでハンドメイド作品、結構前から売ってるの」
「マジで?」
「うん」
「プロじゃん」
「プロと言うより、セミプロ?」

彼女のことがもっと知りたくなった。

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