冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心
公然の恋人
水曜日の朝。
いつのも通りに登校する。
朝陽と長瀬と、彼女であるまどかと。
学校の最寄り駅に到着し、朝陽と話しながら改札を抜けると。
「上條っ!!」
「上條待ってっ…」
クラスメイトの笹岡 満と吉田 孝之が声を掛けて来た。
チラッと一瞥して、再び歩き出す。
「なぁっ、小森と付き合ってんの?」
「とうとう付き合うことになったのか?」
「それ、お前らに何の関係があんの?」
「え?」
「あ……」
行く手を阻むように前を塞ぎやがって。
「邪魔」
「ごめんごめんっ」
「で、付き合ってんの?」
「しつけぇ」
「いいじゃん、教えろよっ」
「何でそんなに知りたがんの?」
「え?あっ、だって、…お揃いのキーホルダーしてんじゃんっ」
「っ……」
吉田の言葉に少し前を歩くまどかが振り返り、視線が絡む。
「付き合ってんだろ?」
笹岡が食い下がって来た。
隣りを歩く朝陽に視線を向けると、小さく頷いた。
……認めてもいいんじゃね?と。
「ん」
「ッ?!……マジかぁ~」
「いつから?いつから付き合ってんの?」
「ちょっと前」
俺の言葉にまどかの顔が赤くなったのが分かる。
心の中で“勝手に言ってごめん”と謝りつつも、笹岡と吉田の落胆ぶりにイラっとする。
まるで、小森を狙ってたのに……みたいな表情じゃん。
「えっ、何なにッ?!上條くん達、付き合い始めたの?!」
「えぇぇぇっ、嘘でしょ~っ!?」
吉田達の声を聞いた近くにいた女子らが駆け寄って来た。
「ホントなの?小森さんと付き合ってんの?」