冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

「そう言えば、虎太郎君も今日来てるよ」
「え?」
「高校に入ってからあまり会えてないからって、朝陽君が虎太郎君の分も予約入れてくれて」
「そうなんすね」
「終わったら、3人でいっぱい遊んでおいで~」
「はい」

津田(つだ) 虎太郎(こたろう)は、廉と朝陽の幼馴染。
自宅が空手道場で、父親がオリンピックのメダリスト。

高校は廉と朝陽のいる進学校ではなく、空手が強豪の高校に進学した。
毎日部活と自宅での練習が忙しく、空手中心の生活をしている。



「虎太」
「廉っ!」
「見ないうちにますますデカくなったな」
「朝陽だけかと思ったら、廉もいたんだ」
「悪いな、俺もいて」
「いや、そういう意味じゃ」
「フッ、分かってるって」

向かいの個室から出て来た虎太郎とグータッチを交わす。

「すみません、朝陽はもう終わってますか?」
「朝陽君なら、待合室にいる女性と話してますよ」

近くにいたスタッフに声を掛ける。

「さすが、朝陽」
「だな」

虎太郎と一緒に待合室に行くと、20代の女性2人と楽しそうに会話してる朝陽を発見。

「朝陽」
「おっ、2人とも終わった?」
「おぅ」
「やだぁ~っ、3人ともすっごいイケメン♪」
「今時の高校生って、こんなレベル高いのッ?!」
「さっき話した、幼馴染の2人です」
「今日この後時間あったら、ご飯でもどう?お姉さん、奢っちゃう♪」
「あ、すみません。俺ら3人で遊ぶ約束してるんで」

あえて遊ぶ約束はしてないけれど、俺の顔色を汲み取った朝陽は、さらっと断った。

「それじゃあ、またどこかで。廉、虎太、行こう」
「おぅ」


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