冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心
「初めまして、廉と朝陽の幼馴染の津田 虎太郎。白修館高校に通ってます」
野生的な見た目とは違い、礼儀正しい虎太郎。
武道は、『礼に始まり礼に終わる』という礼儀が大切だからだ。
「初めまして、小森 まどかと言います。上條君と藤宮君とは同じクラスです」
「へぇ~、クラスメイトなんだ」
「はい」
虎太郎の質問にも嫌な顔一つせず答えるまどか。
そんなまどかを虎太郎は無神経にも舐め回すように見回す。
「お前、見すぎ」
「あっ、……ごめんね~?」
虎太郎の視線を遮るように前に立った廉。
白いTシャツにショートパンツを合わせた恰好のまどかは、すらりとした綺麗な脚が男の目を奪うのは歴然。
「この後、どうしようか。廉、まどかちゃん送ってくだろ?」
「えっ、大丈夫ですっ!買い物の途中だったので、私はこれで」
ぺこりと頭を下げたまどか。
朝陽の言葉に『は?』という表情の廉。
そんな2人を目にして、虎太郎は朝陽の肩に手を回した。
「まどかちゃん、1人で買い物してると、また変な男に狙われちゃうから、廉を連れとくといいよ?」
「へ?……あ、本当に大丈夫ですっ」
「廉もそう思うでしょ」
朝陽と虎太郎が気を利かせてくれたのは明らか。
偶然でもばったり会えたことが何よりで、このチャンスを逃したくないと廉は思った。
「小森、俺がいたら買い物できないのか?」
「へ?……そんなことないけど」
「じゃあ、決まりな」
「まどかちゃん、廉のことヨロシクね~♪」
「まどかちゃん、またね~」
「………あ、はい」
朝陽と虎太郎が手を振りながら去ってゆく。
「じゃあ、俺らも行こうか」