冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

電車内での2人の様子だ。
確かそれなら、和香と藤宮くんもいたはずなのに。
何故か、切り取られたようにまどかと上條君だけが写っている。

「上條君がこんな顔するの、小森さんといる時だけじゃない」
「っ……、そんなこと言われても……」
「じゃあ、何?こんな顔させといて、彼女じゃないって言えるの?」
「……本当に付き合ってないからっ」
「そんな言葉、信じらんないからっ!」
「きゃっ………ッ」



教室の入口で案内役をしていた廉の視線の先に、小森が女子5人に囲まれ連れて行かれるのを捉えた。

「朝陽、悪いっ、ちょっと行って来る」
「へ?……あっ…ん、いいよ~♪行ってらっしゃい」

廉の指差す先にいたまどかを見つけ、朝陽は廉に笑顔で手を振る。

「ホント、廉可愛くなったなぁ~」
「朝陽君、……上條君は?」
「あいつ、ちょっとトイレみたい」
「あぁ、そっか」
「次の人、どうぞ~♪」

朝陽は笑顔で接客する。

「わぁ~、あの人凄いイケメン!」
「玄関にあったポスターの人だよね?」
「王子様だよぉ~」

他校の女子高生がキャッキャと騒ぐ中、朝陽は天然の王子スマイルでもてなす。

「あのっ、一緒に写真取って貰えますか~?」
「私達と一緒にお願いします~っ」
「え、僕でいいの?」
「是非ぜひ!!」
「追加料金発生するけど?」
「「構いません!!」」
「お買い上げありがとうございま~す♪」

朝陽のたらしぶりが発動し、売り上げは上々のようだ。

< 51 / 132 >

この作品をシェア

pagetop