冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

小森達の後を追って特別教室がある西棟へと辿り着いた、その時。
階段の上から小森が落ちて来た。

ダンッと結構な音が廉の耳に届いた。
数メートル先に倒れている小森に慌てて駆け寄る。

「おいっ、小森っ！しっかりしろっ！！」
「……んっ……っ」

小森の頬を軽く叩く。
強打した痛みに顔を歪め、瞼が開きそうで開かない。
物凄い勢いで見上げた先には、少し前に小森を連れ出した5人がいた。

「ヤバいよっ」
「先生呼んで来るっ！」

上條に1番近くにいた女子生徒が階段を駆け下り始めた、その時。

「てめぇらッ！！そこから一歩も動くんじゃねぇッ！！」

発狂するように大声を上げ、ギロッと恐ろしいほどの視線を向けた。
下りかけていた女子の足がピタッと止まる。
すぐさまズボンのポケットからスマホを取り出し、朝陽にコールする。

「朝陽、悪いっ、小森が階段から落ちて怪我した。今すぐ西棟の階段まで先生連れて来いっ」

返事も聞かず、廉は通話を切った。

「小森っ、……聞こえるか？」
「……んっ」
「痛い所は？頭は打ったか？」
「頭は……大丈夫っ、肩が……っ…」

ピクピクと動く瞼を捉え、外傷が他にないか目視していた、その時。

「廉っ！！」
「上條っ、どういうことだ？！」
「先生っ、あいつらが小森を呼び出して突き落とした」
「はぁっ？！」
「階段から落ちて来るのをこの目で見たんで。俺、小森を保健室に連れて行くんで、後はお願いしますっ」
「1人で大丈夫か？他の先生を呼ぼ「すぐに連れて行きたいんでっ！朝陽、悪い、後頼んだ」
「おぅ」

廉はまどかを抱き上げ、保健室へと急いだ。