冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

「小森さん、二人三脚に使う鉢巻きの本数確認して貰える？それが終わったら、着順札のコピーを大量にしといて貰いたいんだけど」
「分かりました」

実行委員長の川名(かわな) 仁志(ひとし)（3年）に指示され、オリコンケースの中から鉢巻きが入った箱を取り出す。
色別に本数を数えていた、その時。

「手伝おうか？」
「ありがとうございまっ……か、上條君っ」
「1人でも多い方が早く終わるだろ」
「え、でも…」
「実行委員長～～！部外者ですけど、手伝ってもいいっすか～？」
「ぉおっ？！上條君？」
「小森待ってるんで、手伝ってもいいっすか？」
「あっ、うん！是非ともお願いします！」
「ちょっと～っ、困るからあーいう言い方」
「何で？」
「……」
「悪いことしてるんじゃないんだし、早く終わらせて帰るぞ」

実行委員の人達の視線がまどかと上條に向けられる。
まどかは恥ずかしくて顔が上げられずにいた。

最後の手順打ち合わせを終え、締めの挨拶を終えると。
廉とまどかの周りに実行委員の人達が一斉に集まった。

「上條君って、やっぱり小森さんの彼氏なの？」
「やっぱり？……いや、まだ彼氏じゃないです」
「まだ？」
「今目下口説き中なんで、この中に小森狙ってる人いたら俺と勝負っすね」

悪びれる様子もなく言い切った廉。
有言実行とばかりに予防線を張り巡らせる作戦らしい。

「おっ、上條、お前、顔だけじゃなくて中身もめちゃくちゃカッコいいな」
「誰にも渡したくないんで」
「きゃぁ～～っ！」
「何それぇぇぇ～～言われてみたぁ～いっ！」
「お前、マジで、すげぇなっ」