冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心
廉の言葉でボンッと顔から火を噴いた。
もう恥ずかしすぎて顔が上げられないんですけどっ。
貰い事故のように近くにいた女子も赤面する。
「もうそこまで言われたら、2人を応援しちゃう!」
「俺もっ!ってか、俺も彼女欲しいぃぃ~」
「あ、小森はダメっすよ?」
揶揄う先輩方相手でも、無表情を通り越して猛毒的な視線を振り撒いてる。
『視線すら合わすな!』と脅すような表情で。
校門を出て、最寄り駅のホームでの電車待ち。
まどかは隣りにいる上條をじっと見上げた。
「1つ質問してもいい?」
「幾つでも」
真っすぐ前を見ていた廉が、まどかの言葉にパッとまどかに顔を向けた。
「何で、私なの?」
「ん?……あ、俺が小森を好きな理由?」
「……うん」
「う~ん」
視線を泳がせ、唸り始めた。
「そんな考えないとならないなら別に答えて「真逆だからってのが1番だけど」
「真逆?」
被せ気味に言い放たれた言葉にまどかは唖然としてしまった。
「前にも話したけど、俺基本冷めてるから」
「……ん」
「だけど、小森はいつでも必死で熱いだろ」
「それ、馬鹿にしてんの?」
「してねぇよ。そういう所が好きだって言ってんの」
「………」
「勿論、顔だとかスタイルだとかもあるけど、小さくても年が離れてても見た目が派手でも、たぶん惹かれてたと思う」
「っ……」
「ここが、……ぶわっとすんだよ」
親指を立てた状態で胸元をトントンと叩いた。
「そんな風にここが突き動かされたのは初めてで。俺にもこんな感情があったんだなって、改めて生きてること実感した」
「っ……」
予想もしてなかった答えに、まどかの左胸はドキンッと大きく跳ねた。