冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

本部席から生実況する実行委員長。
事前に調べたメモがびっしりと書かれたノートを目の前にしてマイクを握っている。
これも毎年恒例の名物だ。

「いよいよアンカー!2年のアンカーは2組の上條君。普段はクールな彼が、今日ばかりは熱が籠ってるのか、張り切ってますね~♪先生との差が半周ほどだったのが、更に開いてますっ!」

頑張って……。

勉強だけでなく運動神経も抜群の上條君。
余裕な顔でゴールテープを切った。

1位の着順札を手にして、駆け寄る同級生の男子に取り囲まれながら、チラッと視線を本部席に寄こした。
そんな彼に小さく拍手して見せる。
『ちゃんと応援してたよ』と。

3年生の先生vs生徒リレーも無事に執り行われ、点数集計がなされてゆく。
各クラスでの点数で競うが、リレーや団体ものなどは、既定の計算式に則って都度細かく点数集計されるのだ。
さすが、都内有数の進学校。

本部席の集計係の子達は、競技そっちのけで集計に追われている。
来年はあの係をしようかな。

「今の競技をもちまして、午前の部を終了致します。生徒の皆さんは教室へと戻り、昼食をとった後、再び校庭にお集まり下さい。午後の競技の開始は13時25分となります」

午前の部を締めるアナウンスがなされ、本部席にいるスタッフが自分のクラスへを移動し始める。

「まどかっ」
「和香」
「教室行けそう?」
「うん」
「じゃあ、行こ」

迎えに来てくれた和香と共に教室へと。

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