冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

前にも真顔で言われたっけ。
真面目すぎるし、何事も全力投球なところが可愛い。
そんな小森だからこそ振り向かせたいし、その脳内を占拠したいと思ってしまう。

「勉強は自分の力で勝ち取りたいから」
「……ん」

俺の助けは要らねぇってことか。

「それとね?」
「…ん」
「正直、怖いの」
「……何が?」
「上條君って、凄いモテるし。この間みたいに、上條君のこと凄く好きな子達から何かされるんじゃないかって」
「あ、……ごめん、ホントそれは謝るしか出来ない」
「……うん。上條君が悪くないことは分かってる。だけど、それでもやっぱり……ね」

頭では理解してるつもりでも、考えたくもなかったのに。
本心を打ち明けられたらやっぱり納得というか。

「朝からダークな会話~」
「っ……ごめんっ」

振り返った長瀬がさりげなくフォローを入れる。
まどかは申し訳なさそうに眉根を寄せた。

「小森が謝ることじゃねぇよ」
「恋愛って奥が深いね~」
「お前が、能天気なだけだろ」
「フォローしてやってんのに、ムカつくな」
「フォローになってねぇし」

朝陽もフォローパスを出してくれたが、肝心の小森は殆ど変わらず。
意思は固いようだ。
ここ最近、溜息吐いてるのしか見てない気がする。

「何ていうか、頭の中ぐちゃぐちゃ状態で勉強捗んないの」
「……ん」
「とりあえず、送り迎えも控えて貰いたいし、距離置きたい」
「……分かった」
「ホントに上條分かっての?」
「長瀬、いちいち癪に触んな。黙れ、その口縫い付けんぞ」

小森と違ってズバズバ言うし、見た目とは全然違って可愛げが無い。
けど、小森のことが大好きなのは通じてくる。
だから、口が悪かろうが、長瀬は嫌いじゃない。

「んじゃあ、今日から休戦ってっことで。廉、行こ」

朝陽が気を遣って俺の肩に手を回して来た。

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