冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

全教科の解答用紙が返却され、SHRで順位表が配布された。

クラス順位、2位。
学年順位、2位。
古文以外の教科は1位になってるものが1つもなくて、もしかして古文以外、全部上條君が1位なんじゃないかと思い始めた。

「まどか、帰ろ~」
「ちょっと待ってね」

忘れ物がないか確認していると、上條君と藤宮君が目の前にやって来た。

「お祝いしない?」
「え?」
「廉に勝った、お祝い」
「っ……」
「それ、2人のおごり~?」

横からひょいっと顔を出した和香が、2人を仰ぎ見てにこにこしてる。

「もちろん♪」
「行くいく~!!」
「まどかちゃんもいいよね?ってか、主役だし」
「っ……」

有無を言わさず和香に腕を掴まれた。

「美味しいワッフルのお店があるの~♪」
「おっ、いいね~」
「まどかの大好物なのっ」
「ッ?!」

和香の言葉に無表情だった上條君が反応した。

「その店、連れてけ」
「しょうがないなぁ~、上條、ついて来な」
「ちょっと、和香ぁ~っ」
「久しぶりにワンドのワッフル食べたいの~♪」
「……もうっ」



和香の自宅近くにある穴場カフェ『ワンド』。
老夫婦が経営しているちょっとノスタルジック感がある小さなカフェで、甘さ控えめだけど外はカリサクッしてて、食べるともっちりしてるのが絶妙のワッフル。
そのままでも美味しいけれど、フルーツとホイップクリームの甘さでちょうどいい感じに仕上がる。

「何この触感。もちもちなんだけど…」
「病みつきになるでしょ。でも、デートには使わないでね?ここ、ホントは教えたくなかったんだから」

デート慣れしてる藤宮君でも衝撃だったらしい。
すかさず釘を刺すあたり、和香らしい。

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