冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心
華奢な腕。
手首なんて掴んだら、指が余るほど細くて。
12月の寒空の下、手袋もせずに歩いているから、小森の肌が思ってる以上に冷たくて。
手首から少し指先を滑らせ、手を握りしめた。
その俺の手を払おうと手を引く彼女の手を阻むように、更にぎゅっと握りしめる。
本当に嫌だったら、突き飛ばすなり、もう片方の手で叩くなりすればいいのに。
小森はそれをしなかった。
小森の自宅から程近い小さな公園。
滑り台やジャングルジムがあり、住宅街の中のオアシス的な存在で樹木が多い。
木製のベンチに並んで腰掛け、途中で買った温かい緑茶を手渡す。
「小森、……俺のこと、嫌い?」
「………」
「今日、ずっと避けられてる気がするし、目が合ってもいつもの小森と違うし」
「………」
「何か、あった?」
「………」
問い詰めてるわけじゃないのに、視線を手元のお茶に固定したまま上げようとしない小森。
寒空の中、これじゃあ、埒が明かない。
「話したくない?……話さないでいたら、ずっとここにいる羽目になるし、風邪ひくぞ?」
「………」
彼女が委縮するようなこと、誰かに言われたとか?
会話のキャッチボールが成立しないことには解決しない。
俺は腰を上げ、小森の目の前にしゃがみ込み、顔を見上げた。
「また誰かに、何か言われたのか?」
「………」
暫く顔を見つめていたら、小さく顔を横に振った。
「じゃあ、何で黙ってんだよ。言いたいことがあんなら、はっきりと言ってくれ」
膝の上に置かれたお茶を握りしめる彼女の手を優しく包み込む。
すると。