冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心
楽しそうにスマホをいじる朝陽を横目に、廉は朝陽が契約してる雑誌をペラペラと捲る。
すると、朝陽の携帯が鳴った。
「は~い、もしもし?……ん、―――そう、……えぇっ?……」
スマホを指差し、口パクで『長瀬』と伝えて来る朝陽。
電話の相手は長瀬らしい。
会話しながら何やらメモを取ってる。
2分ほどの通話を切った朝陽は、そのメモを廉に手渡した。
「まどかちゃん、お母さんの仕事について行ってるらしいよ。クリスマスは沖縄、昨日まで四国にいて、今日から福岡だって」
「……」
東京にいねぇのかよ。
「元旦も地方にいるって?」
「……そうみたい」
「そっか」
それじゃあ、誘えないじゃん。
長瀬から聞き出した小森のスケジュールが書かれた紙を呆然と見つめる。
「お母さんが芸能事務所の仕事してて、両親共に繁忙期でまどかちゃん家に一人になっちゃうから、仕方なく毎年仕事現場について行ってるんだって。それで、まどかちゃんはホテルに籠って勉強してるらしいよ」
「ホテルにいるんだったら、スマホ使えんだろ」
「それが、勉強に集中するために電源切って放置してるみたい。徹底してるよね~、まどかちゃん」
そういうことか。
小森らしいな。
「あ、写メ来た」
朝陽の言葉で一気に脱力した。
何て誘い出そうか、めっちゃ悩んでたのに。
「廉、ちょっと遅いけど、クリスマスプレゼント送るね♪」
「ん?」
ブブブッと震えた自分のスマホに朝陽からメールが送られて来た。
「ッ?!!!……小森だっ」