元カノからのプレゼント
「うわ、肌もガサガサだな」

頰に触れた時、葉一は自分の肌の状態に驚く。このままでは、婚約者と顔を合わせた時に何かを言われるのは目に見えている。婚約者はこの日のために張り切って、ネイルサロンやエステに通っていたのだ。

「これを飲むか」

葉一は、月から貰ったサプリメントを迷わず飲み込む。早く効果が出てくれることを祈りながらウェディングプランナーが呼びに来るのを待っていると、スマホに電話がかかってきた。海外に住んでいるため、式に出席することができない友人の一人からだ。

「もしもし?」

『もしも〜し!結婚おめでと〜!まさか、俺より先にお前が結婚することになるとは思わなかったよ。高校の時は、俺の方が彼女できるの早かったのにな』

友達は笑いながら『おめでとう』と何度も言う。それに葉一が「ありがとな」と返していると、友達が言った。

『お前、何か元気なくて?マリッジブルー?』

「違う!酒の飲み過ぎで二日酔い!」
< 10 / 12 >

この作品をシェア

pagetop