元カノからのプレゼント
普通の彼女から、「それなら仕方ないね。また今度行こう!」と笑って言ってくれるだろう。しかし、月は違った。笑顔だった彼女から一瞬にして表情が消える。煌めいていた目は真っ黒になり、その豹変に葉一が驚いて固まっていると、痛いくらいに肩を掴まれる。

「ねえ、私のデートよりそれって大事なの?ねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえ?」

「と、友達と前から約束してたんだよ!」

葉一は素早く月の手を振り解く。しかし、肩にはまだジンジンと痛みがあった。

「友達と私、どっちが大事なの?葉ちゃんは友達を選んじゃうの?彼女の私を放っておいて」

「ッ!」

あまりの恐怖に葉一は慌てて友達に断りの連絡を入れ、月とデートに行くことにした。月はその後はずっといつものようにニコニコ笑っていたものの、葉一はあの豹変した月のことが忘れられず、デートを楽しむ余裕などなかった。

(何であんなに豹変したんだ?俺、何か悪いこと言ったっけ?)
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