元カノからのプレゼント

「相口、何の用だ？悪いけど急いでるんだ」

心拍が上がっていくのを感じながら、葉一は言う。すると、月は「ごめんなさい」と言いながら、頭を下げた。

「私、葉ちゃんにどこかで会えたら謝りたいってずっと思ってたの。あの頃の私、すごくわがままで重くて、嫌な女だったよね。本当にごめんなさい」

デパートの真ん中で女性が頭を下げている光景を、ジロジロと他の買い物客が見ている。葉一は慌てて月の手を掴み、「とりあえずここで話そう」と近くにあるコーヒショップに入った。

コーヒーをそれぞれ注文し、店の奥にある椅子に座る。葉一はすぐに口を開いた。

「お前、確か地元の短大受けたんだろ？何でこんな遠い県にいるんだ？」

「私、短大を卒業した後、地元の会社に就職したの。健康や美容に関するサプリメントを販売してる会社なんだけど、今年からこの県にある会社に異動になって。葉ちゃんに会えたのは本当に偶然」

「そっか」

てっきり興信所でも使って自分を探したのでは、と葉一は思っていたためその答えにホッとする。そこからは、互いの近況を少しだけ話した。