花束とメロディを君に。
学校の門をくぐると音楽室の方から合奏している音たちが聴こえる。
この中にきっと、蓮くんもいるんだよね。
女嫌いなわけじゃないって真琴さん言ってたけど、もしかして私のことが嫌い?
いや、でも私蓮くんと学校で話したことないからきっと知らない人がいてびっくりしちゃったんだ!
と、思い込もう!
私はまず補習という敵がいるしね
花理は自分の教室のドアの前に立った。
ヴァイオリンの音?
ドアの向こう側から、ヴァイオリンの音が聴こえた。
これは、ラヴェルの[亡き王女のためのパヴァーヌ]
私もこの曲を小学生の時に演奏をしたことがある。
その時は曲のことについて考えず、ただ譜面を追っていた。
けど、今聴こえてくるのは静かで落ち着いている中に何か深いものを抱えているような、
そんな深い音がする。
無意識に花理はドアに手をかけていた。
「なに?」
このヴァイオリンの音は学園の王子様である立花蓮くんであった。
「蓮くん!すごい素敵な音だね!」
「…あんたも弾く?」
なぜ!?!?!?
「い、いやあ、人の楽器だし、申し訳ないというか、、」
「これ、俺のじゃないし。」
「え!そうだったの!?」
話していると、ドアがまた開き、
「え、お取り込み中?」
また、有名な人が来た。
確か名前は白土恭介(しらときょうすけ)
入学式直後に蓮くん同様、イケメンがいると大騒ぎになっていた。