運命の恋を、君と…
「お母さんとの思い出が詰まってるから、出ていくの」

「………やっぱ、そうゆうことか…」

「え?」

「さっき言ってた、箱一つにお袋さんとの思い出を詰めて、後は心機一転したいっつうことなんだろ?」

「うん。
さすが、俊英!」

「さすが!じゃねぇよ!
お前がわかりやすいだけ!
でもさ。
心機一転するなら、一人じゃなくて二人の方が心機一転出来そうじゃね?」

「え?」

「一人でいたら“また”お袋さんのことばっか思い出して、泣くことになる」

蓮花を見据えて、淡々と言い切る俊英。

「………」

「言ったよな?
“穴を埋めてやる”って!
俺が傍で、見守ってやる!」

「………なん、で…?」

「ん?」

「なんで、そこまでしてくれるの?」

「元カノだから?」

「え?なんで、疑問系?」

「お前が不憫だったっつうか、可哀想だから」

「は?」

「でも一番の理由は………」

「もう…いいよ……」
(同情なんて、いらないし……)


「━━━━━好きだから」


「…………え?」

「元カノだからってのと、可哀想ってのは一割。
あとの九割は、俺が蓮花を好きだから!
好きな女を守りたいと思ったから」

「………/////」
蓮花は自身の口元を両手で塞ぎ、瞳を潤ませた。

そんな蓮花を、俊英は包み込むように抱き締めた。


指を絡め合って手を繋ぎ、ゆっくり歩いている二人。
駅前にある、カフェに向かっていた。

「腹減ったぁー」
「フフ…だね(笑)」

「引っ越す予定だったんなら、すぐにでも引っ越せるんだよな?」

「え?うん。
荷物はほとんどないし、荷造りはだいたい済んでるから。
あとは引っ越してから、買おうかなって思ってる」

「ん。
知り合いに、引っ越し業者経営してる奴がいてさ。
たぶん、予定組んでくれると思うんだ」

「そうなんだ!
じゃあ、お願いしてもらっていい?」

「あぁ!急ぐように言っとく!」

「え?そんな悪いよ!
その人の予定に合わせて?」

「ダメー
俺が、早く一緒に住みたいから!」

「……/////」
(……ったく…ほんと、恥ずかしげもなく言うんだもんなぁ////)



その言葉通り、わずか三週間後━━━━━━

「あとは、これだけっすね!」
「あ、はい!
よろしくお願いします!」

俊英の知り合いの男性達によって、蓮花は俊英の住むマンションに引っ越したのだった。

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