運命の恋を、君と…
「蓮花、幸せになんなよ!」
「御子…うん!ありがとう!」

俊英と一心が煙草を吸いに外に出たため、蓮花と御子は二人で話をしていた。

「ずっと、自分のことを後回しにして生きてきたんだからさ!
少しくらい、ワガママ言っていいんだからね!」

「うん」



一方の、俊英と一心━━━━━━━

「ねぇ、聞いていい?」
一心が、空に煙草の煙を吐きながらポツリと言った。

「んー?」

「“最初から”その気だったの?」

「は?」

「あの日。
御子が紹介したい人がいるって言って、再会した日。
もちろん俺達誰も、俊英と蓮花ちゃんが知り合いだったなんて知らなかった。
偶然、再会したわけでしょ?」

「あぁ」

「再会した、あの瞬間から“手に入れる気”だったの?」

「いや。
あの時はただ“会えて嬉しい”ってだけだった。
元々可愛かったが、もっと綺麗になってたし。
高校ん時もさ、実はスゲー好きだったんだ。
色んな女と付き合ってた中で、断トツにな!
でも、あの頃……友達も、自分自身も大事だった。
バイトもしてたし。
だから卒業と同時に別れたんだが、どこかで忘れられなくて。
だから、嬉しかった!単純に。
でもあの後、飯食って話して、蓮花をスゲー好きだった気持ち思い出して、蓮花がどんな風に生きてきて、自分を犠牲にしてたって聞いて“俺が”支えたいと思った。
同情もあるかもだが……
“あぁ…やっぱ、俺は蓮花が好きだ”って」


俊英と一心が個室に戻ると、中の蓮花と御子の話し声が聞こえてきた。

「冬澤さんなら、幸せにしてくれそうな気がする!」
「うん」
目が潤んでいる、蓮花。

「蓮花?泣いてる?」
頭をポンポンと撫でる、御子。

「ほんとはね…」
「うん」

「俊英にずっと会いたかったの」

「え?」

個室の襖越しに聞いている、俊英と一心も思わず“え?”と声が出た。

「俊英って真っ直ぐな人だから、私も傷つくこと沢山あった。
でも厳しいだけで、間違ってることを言う人じゃない。
俊英といた、高校生活は幸せだった!
本当は大学も、俊英と同じ大学に行きたかったんだけど……
私じゃ、俊英の頭には敵わなくて(笑)
それでフラれた。
ほら…俊英のあの性格だから、大学生活に私は邪魔だったんだと思うの……
お母さんが倒れて……本当は何度も…俊英に連絡しようとした……」

少しずつ、蓮花の声が涙で苦しそうになっていく。
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