運命の恋を、君と…
「━━━━初めまして!
俊英さんとお付き合いさせていただいてます、水原 蓮花です!」

料亭に待ち合わせて、丁寧に挨拶をする蓮花。

「こちらこそ、初めまして!
俊英の父です。
今日は、わざわざ時間を取ってもらって悪かったね」

「いえ!
私も、お会いできて光栄です!」

「ん。
俊英から聞いてると思うが………早くに妻を亡くして、俊英には早く落ち着いてほしいと思っていてね。
二人のペースがあることは、十分にわかってるんだ。
でも、年かな?(笑)
早く、亡くなった妻に“嬉しい報告”をしたくてな。
妻に“俊英は幸せだ”と伝えたくて!」

「はい」

「蓮花さんは、ご両親は?」

「私も父は早くに亡くしてます。
母も今年、亡くなりました」

「そうか…
お会いできないのが、残念だな…」

「はい…」

「ここに来て、たった数十分。
それだけで、君の育ちの良さがわかるよ。
きっと…ご両親が時に優しく、時に厳しく……
いかに素敵な人だったことがわかる。
立ち振舞いや言葉の一つ一つ。
君なら、安心して俊英を任せられる!
ありがとう」

そう言って父親は、正座に座り直し蓮花に向き直った。

「え?お、お義父様!?」

「愚息ですが、俊英をよろしくお願いいたします!」
丁寧に頭を下げた。

「親父……」

「はい!
こちらこそ、よろしくお願いいたします!」


それから、楽しくゆっくり食事をした三人。
食事後、父親をタクシーに乗せようとしている俊英。
「━━━━ちょっ……マジ、大丈夫かよ!?」

「だーじょーぶだっつってんだろ!?
まらまら、息子の世話に、なるかっつーの……」

「酔いすぎて、ろれつ回ってねぇし……」
「俊英、やっぱ一緒に乗ってちゃんと家に送った方がいいよ!」

「だな……
わりぃ、俺、親父送ってから帰るから!
先、帰ってて!」

「うん、わかった!
私も行かなくて大丈夫?」

「あぁ。
あ!タクシーでちゃんと帰れよ!
間違っても、電車で帰んなよ!?」

「わかってるよ(笑)」

「家着いたら、連絡しろよ!
心配だから!」

「わかった!
では、お義父様。
楽しい時間をありがとうございました!
お気をつけて!」

「ん!」
手を軽くあげる父親。
そして俊英も、蓮花の額にキスをしてタクシーに乗り込んだ。
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