運命の恋を、君と…
後日蓮花は、仕事帰りにデパートに寄っていた。

「今日は仕事で遅くなるって言ってたし、ゆっくり選べるな!」

色んなショップを見て回る。

「━━━━では、こちらの財布とキーケースのセットで!」
「ありがとうございます!
ただいま、サービスでイニシャルをお入れすることできますが、どうされますか?」

「あ、お願いします!」

「かしこまりました!
ただ、少しお時間をいただいております。
出来上がりましたら、取りに来ていただくか、ご自宅にお送りすることも出来ますが……」

「じゃあ、送ってください!」


いい買い物ができ、気分よく自宅マンションに帰る蓮花。
しかしマンションに着く寸前で、その気分は恐怖に変わった。

「………また、いる…」

あの配達員が、マンション前にいるのだ。
しかも毎日で、蓮花が帰ってくる時いつも。

確かに、毎日このマンションの住人にどこかしら配達があるのかもしれない。

でも毎日会うので、蓮花は恐怖を感じていた。

「…………あ!」
配達員が、蓮花に気付いた。

「あ…」
蓮花に微笑み、近づいてくる。

「お疲れ様です!」
「あ…お、お疲れ様です…」

「今、帰りですか?」
「え?あ、はい」

「今日は遅いですね!」
「え?はい、ちょっと…用事があって。
…………じゃあ、私はこれで…」

足早にマンションに入った、蓮花。
エレベーターに乗り込み、息を吐いた。

「怖い…怖いよぉ…」

何かされたわけではない。
さっきのように、挨拶をするだけ。

たった、それだけ━━━━━

でも、怖くて堪らない。

自宅に着くと、ソファに座り縮ませるように震えていた。

「俊英、まだかな……?」
スマホを操作する。

何も連絡は来ていない。

蓮花はおもいきって、俊英にメッセージを送った。

【仕事、お疲れ様(^^)
何時頃帰ってくる?】

しかし、なかなか“既読”にならない。

「忙しいのかな?」

何故か、涙が出てくる。

「あれ?なんで、涙出るの……?」

今までは、こんなことくらいで泣くなんてあり得なかった。
俊英と再会し一緒に住むようになって、すっかり弱くなってしまっていた。
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