運命の恋を、君と…
「フフ…もちろん!おいで?」
両手を広げる俊英に、抱きつく。

大丈夫。
別に何かされたわけではない。

挨拶してるだけ。
きっと、毎日このマンションの誰かしらに配達してるんだ。

蓮花は俊英にしがみつくようにして、必死にそう言い聞かせていた。


「なんかあった?」
俊英が、頭を撫でながら聞いてくる。

配達員のことを話そうか?

いや、でも。
心配をかけたくない。

「今日ね。
仕事が凄く忙しくて、お弁当食べる余裕がなかったの。
だから、疲れちゃった」

「マジで?じゃあ、腹減ったよな?
カレー出きるから、着替えてこいよ!」


「━━━━いただきます!」
着替えて、食卓につく。
カレーを一口食べる。

「………どう?」
「辛い……!」

「フフ…」
「でも、美味しい!」

「だろ?」
「ピリッと来るけど、残らないってゆうか……
美味しい!」

「良かった!
配分がわからなくてさ。
結構、量が多くなったから、明日も食おうぜ!
仕事休みだし!」

「うん!」
(あ!そうだ!
明日は、休みだ!
だったら、あの人が配達に来て何かあっても、俊英がいてくれる!)


「━━━━━蓮花、ここ来て!」
片付けが終わり、ソファに座った俊英が自身の膝の上を叩きながら蓮花を呼ぶ。

蓮花は頷き、俊英の膝の上を跨いで座った。

「はぁ…安心する…」
蓮花に抱きつき、息を吐く。

「俊英、こうするの好きだよね(笑)」
「あぁ。
蓮花の重みと、密着具合、心臓の音も、体温も、匂いも………
全部、独り占めできるからな!」

「高校の時は、こんなことしなかったよね?」

「そうだな」

「じゃあ……元…」
「ん?」

「ううん!なんでもない!」

「………蓮花が初めてだぞ?」

「え?」

「元カノに“して?”って言われてしたことあるが、こんなんじゃなかった。
ただ、早く退いてくんねぇかなって思ってた(笑)」
蓮花を見上げ、クスクス笑いながら言った俊英。

「そっか!」

「ぜーんぶ、蓮花が初めて!」

「え?」

「こんなに好きなのも、離れたくねぇって思うのも、独り占めしてぇなって思いも、結婚を意識したのも………
全部、蓮花だけ!
だから、そんな不安になるなよ」

「うん……!」

俊英が、蓮花の口唇をなぞる。
俊英の顔が近づいてきて、蓮花がゆっくり目を瞑る。
二人の口唇が、重なった。
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