運命の恋を、君と…
次の日。

駅で別れる前。
「俊英」

「ん?」

「気をつけてね」

「ん」

「あの…ね…?」

「ん?」

「電話、していい?
寂しくなったら」

「当たり前だろ?
俺も電話するから」

「もしかしたら、頻繁にしちゃうかも?」

「もちろん、構わねぇよ?
何度でもしてこいよ!
大歓迎!!
もし出れなくても、絶対折り返すから!」

「うん、ありがとう!
じゃあ……行ってらっしゃい……!」
「ん。
蓮花も、気をつけろよ?
いつでも、連絡してこいよ!
我慢はしないこと!!」

「うん」
小さく手を振る蓮花に、俊英はポンポンと頭を撫で、軽く額にキスをした。


「━━━━つか!なんで、泊まりなんだよ!?」
会社にて、俊英は一心に愚痴っていた。

「そんなの、俺に言うなよ!
だって、前日は男達だけで飲み明かそうって約束したでしょ?
式の日も、二次会や三次会まで楽しもってことになってるし」

「あー、蓮花に再会した後ならなぁー
断ってたのに……」

「あぁ、だろうね(笑)俊英なら。
“式だけ出る”とか言ってそう!
まぁでも、どうしようもないじゃん」

「わかってるし」

「………」

「なんだよ、一心」

「ほんっと、蓮花ちゃんに会って変わったね~」

「え?」

「彼女を最優先なんて、なかったでしょ?
俺とは入社してからの仲だけど、大学ん時もなかったんでしょ?」

「そうだな。
高校ん時も、今程はねぇけど……それなりにはあったかも?
できる限り、蓮花のことを一番にしてたっつうか。
あー、そう考えると……蓮花に対してだけかも?」

「好きなんだね、蓮花ちゃんのこと。本気で」

「なんだよ……何が言いてぇの?」

「俺は、感動してるの!」

「は?」

「だって俊英。
女を紹介するって言っても、断ってくるし。
たまにその気になっても、なーんか冷たいし。
付き合ってたのに、いつの間にか別れてたり。
この10年、そんな感じだったでしょ?」

「そうだな」

「俺はさ。
俊英とほんと気が合うから、これからもつるんでいきたいと思ってる。
だから、俺なりに心配してたんだよ?
もちろん、独り身だって幸せな人はいくらでもいる。
でも俊英には、隣で支えてくれる相手が必要だと思ってたから」

「あぁ。サンキュな!」

「━━━━━ってことで!
代わりに、この資料纏めて~!」

「は?(笑)
このくらい、自分でしろ!」

「えー!!
めんどうなんだもん!
俺、こうゆうチマチマしたの嫌ーい!!」

「は?
めんどくさがるな!!
ちゃんと仕事しろ!バカ!」

俊英はデスクに戻りながら、一心に聞こえないように「俺も、お前とはずっとつるんでいきたいと思ってるよ」と呟き、微笑んだ。
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