運命の恋を、君と…
屋外にある喫煙所。

煙草を咥え、火をつける。
空に向かって煙を吐いた。

蓮花を思い出す。

正直、びっくりした━━━━━━
あんなに、美しく成長しているなんて。

“変わらないなぁ”なんて余裕ぶっていたが、内心はドキドキしていたのだ。

高校の頃を思い出す。

あの頃も、蓮花はとても可愛くてモテていた。
可愛い上に心優しく、まさに癒し系。

蓮花の恋人であることが誇らしかった。


思わずにやけていると、スマホが震えだした。
「ゲッ!!親父!?
━━━━━━もしもし?」

『俊英?
お前、いつ顔出すんだ!?』

「だからぁ!結婚はしねぇっつってんじゃん!」

『そんなこと言ってると、所帯を持てないぞ!』

「所帯持たなくていいっつうの……」

『は?
とにかく、見合いだけでもしてみろ!』

「だからぁ━━━━━」
『それとも、いるのか?
将来を考えてる相手』

「は?
……………」
咄嗟に、蓮花の顔が頭に浮かんだ。

『俊英!』

「…………いる」

『は?』

「いるんだ、結婚したい相手」

『だったら、早く言え!
今度、会わせろ』


俊英は、通話を切ってため息をついた。
そして前髪をかき上げた。

「なんで、あんなこと言ったんだ、俺は」

そして、父親からメッセージが入ってきた。

【できる限り早く、会う段取りを組め】

「はぁ!?
ほんっと、勝手だよな……
………てか、なんで蓮花の顔が浮かんだんだ?」

いや━━━━ほんとは、その理由はわかっている。



「━━━━お待た………ん?」

蓮花の元に戻ると、蓮花が空を見上げ泣いていた。

「蓮花!どうした!?」
「え?あ、ううん!帰ろ?」

「何があった?
ナンパ?
高校ん時もよくナンパされてたもんな」

「違うよ。
大丈━━━━━━」

「じゃないだろ!?
蓮花、ほんと変わってねぇよ!
なんで、我慢すんの?
“助けて”って言えっつってんじゃん!」

「………思い出してただけ」

「は?」

「お母さんのこと。
ほんと…必死にお母さんの介護してきたから、フッて一人になると涙が出てくるの。
寂しいからかな?
よくわかんないんだけどね(笑)」
切なく笑う、蓮花。

「━━━━だったら!
俺が埋めてやる!」

「え?」

「その心の穴!
蓮花、俺とやり直そ?」

俊英は、蓮花を抱き締めていた。

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