運命の恋を、君と…
煙草を購入し、近くの石段に腰かけた閃と蓮花。

「ごめんね。
本当に、ただ話したいだけだから!」
「うん」

「僕達が付き合ってた時、蓮花が僕と元彼のこと比べてたでしょ?」
「うん…」

「正直、酷いと思ってた。
蓮花は僕の彼女なのに、なんで!?って」
「そうだよね…」

「でも、僕……
この十年、蓮花のこと忘れられなかった」

「え……」

「もちろん、好きな人ができて付き合ったりもした。
でも、蓮花と比べてた」

「そう…」

「…………蓮花。
なんで?」

「え?」

「あんなに……高校ん時の元彼のこと忘れられなかったのに、なんで婚約者なんて出来たの?
…………ごめんね…こんなこと…
自分でも、未練がましいなって思う。
でも、どうしても聞きたい!」

「その、元彼なの」

「え?」

「婚約者。
高校生の時の彼。
ずっと、忘れられなかった彼なの」

「………そうか…
なーんだ……そうゆうことか!」
閃は、ホッとしたように息を吐いた。

「閃?」

「ある意味、ホッとした!」

「え?」

「だって、あんなに忘れられなかったはずなのに、婚約するくらいの人に出逢えたなんて思ったら……
僕はなんだったのかなって!」

「そんなこと……」

「ねぇ、嘘でいいんだ」

「え?」

「“閃のこと、大好きだった”って言って?」

「え?」

「その言葉を聞けたら、前を向いて行けそうなんだ!」

「………………そんなこと、言えないよ……」

「なんで?」

「“嘘でなんて”言えない!
確かに、元彼のこと忘れられなかった。
閃と比べてた。
閃に嫌われないように、気を遣って我慢してたことがあったことも事実。
…………でも、嘘はついたことない!
本当に、好きだった。
閃と付き合ってた、大学二年から四年までの二年間、幸せだったよ!」

「蓮花…
ありがとう!
…………でもそんなこと言われたら、気になるなぁー」

「ん?」

「婚約者!
会ってみたいな!」

「え?あ、それは……」
(俊英、嫌がるよね?さすがに…)

「……って、やだよね?さすがに(笑)」

「ご、ごめんね…」

「ううん!
逆なら、嫌だから(笑)」

「逆なら私も、彼の元彼女さんに会いたくないし…」

「だよね(笑)」
「うん(笑)」

「よし!戻ろ?
煙草も、渡さなきゃ!」

二人は微笑み合い、居酒屋に戻った。
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